うつ病の原因とは
うつ病は元々、「心の病」と呼ばれていますが、近年では脳内物質の不足によって起きているとわかってきました。具体的には、脳内物質のセロトニンの不足が大きく関係しているといわれています。しかし、それは症状の一つにすぎません。では、なぜ脳内物質が不足してしまうのか?
となると、結局、元のところに戻ってきますが、精神的なストレスが原因になることが一番多いといわれています。多くの場合は、仕事や学業のストレス・人間関係のストレスなどが原因のことが多いようです。
精神的ストレスは、「嫌なこと・つらいこと」ばかりではありません。時には、結婚・就職・進学・出産・転居など、自分にとって嬉しいことが原因になることも知られています。自分にとって嬉しい出来事であるために、その喜びのほうが勝っていて気が付きにくいのですが、そのような大きな環境変化は精神的に様々なプレッシャーやストレスを与えることになり、気が付いたら突然気分が落ち込んでいたということもあります。
うつ病の殆どは心因性の原因といわれています。ですが、原因はそれだけではなく、肉体的病が精神的落ち込みや焦りに繋がり、うつ病に発展してしまうこともあります。また、脳に何らかの衝撃を受けたり、薬の副作用、加齢などが原因のホルモンバランスの崩れや能力の低下が原因となって発症するケースもあるのです。さらに、真面目な人はうつ病になりやすいといわれるように、その人の性格や体質も大きく関係しているでしょう。
>>「うつ病」から脱出するプチ認知療法
うつ病かどうかのチェック方法
現代病ともいわれるうつ病ですが、「自分がうつ病かも」と疑う人は案外多いのにもかかわらず、実際に病院を訪れる人は大変少ないのも大きな問題と言えます。うつ病は精神科にかからなければなりませんから、その事自体に嫌悪感や拒否感を強く感じる人がとても多いからです。
とはいえ、うつ病(心の風邪なんて表現をされることが多いですが、治りにくさは風邪どころではないようです)は自殺を引き起こすことが多いこともよく知られており、放置するのは大変危険です。もし、自分が鬱病かもしれないと感じた場合には、まず簡単なセルフチェックを行い、その結果によってはぜひとも精神科(受診する前に電話やメールで問い合わせると、より適切な選択ができるかもしれません)を訪れて欲しいと思います。
・朝早くに目が覚めて眠れなくなる(早朝覚醒)
・夜なかなか寝付けない日が一週間以上続く(不眠)
・ほぼ毎朝具合が悪く、夜になるに従って元気になってくる
・とても疲れやすく、また疲れが取れない日が続く
・色々なものに対して興味(全てはそこから始まるといってもいいかもしれないです)や気力が湧いてこない
・これまで好きだったものでも関心が薄くなり、楽しいと感じられない
・何をするにも億劫でたまらない
・集中力(あらゆることを行う際に必要とされ、その成果を左右するでしょう)や決断力が著しく低下してしまっては感じる
・人と会ったり会話するのが面倒
・自分に対する自信がなくなり、いなくなったほうがいいと感じてしまうことがある
・これといった理由もないのに不安になったり、寂しくなったり、悲しくなったりする
・食欲や性欲が湧かない
・気がつくとボーッとしていることが増えた
・気がつくと死について考えていることがある
これらの半分以上に心当たりがあって、加えて、それが2週間以上続いているようなら、うつ病(家族や周囲の人の理解が得られずに、孤独に苦しむことも少なくありません)を疑って病院を訪れましょう。
トリプトファンと牛乳
トリプトファン不足解消のためには、トリプトファンを豊富に含む牛乳を大いに飲むべし、そう言って、朝晩牛乳を飲み始めたうちのお姉様。まあ確かに、トリプトファンは牛乳から発見されたアミノ酸です。しかも、必須アミノ酸なので、意識して摂取しなければならない滋養分の一つ。勿論、悪いアイデアでも、間違った考え方でもないんだけど、タダ単に毎日牛乳を飲むだけでトリプトファン不足が補えるっていうものではないでしょう。
納豆や豆腐などの大豆製品、それに肉や魚などから動物性たんぱく質を取り込む事も考えないとね。因みに、トリプトファンは牛や豚より鶏肉の方が多く含まれているんですよ。でも、牛乳を加工して作る乳製品、特にチーズ、これがすごいんです。例えばプロセスチーズの場合だと、生の牛乳の時より乳製品に加工した方がトリプトファンが増えるなんて、ちょっと面白いですね。
トリプトファンを実際にしっかり摂取したいのであれば、生の牛乳よりも10倍ものトリプトファンを含むスキムミルクとは、ズバリ、脱脂粉乳の事です。付録に低脂肪を超えたほぼノン脂肪、そんなすごい乳製品とは、スキムミルクです。脂肪が大方なくて、トリプトファンやカルシウムが一杯取れる乳製品ですからね、女性には実に嬉しい食品と言えるでしょう。
事実、このスキムミルクを使ったヨーグルトは、ダイエット食品としても大人気です。そんな牛乳の10倍ものトリプトファンを含む乳製品があります。しかも、トリプトファンだけでなく、他のたんぱく質も豊富で、カルシウムもふんだんに含まれている乳製品です。脱脂粉乳と聞くと、いや〜な味と臭いを思い出される方も少なくないと思いますよ。
トリプトファンが注目されている要因の一つに、トリプトファンの持つ高い精神安定効果があります。事実、欧米ではうつ病の診療薬にこのトリプトファンが大活躍しているそうですね。なので、どうせ牛乳を飲むのなら、お休み前のホットミルクがお勧め。トリプトファンはインスリンの分泌によって脳に運ばれ、セロトニンという物質に合成されてこそ、初めて神経伝達物質としての役目を果たすのです。
なので、いくら牛乳をガブガブ飲んでも、脳にうまく到達しなかったら意味がないんですよね。
トリプトファンには睡眠を促す作用もあるので、不眠にも効能を発揮してくれる事でしょう。ただし、その場合はちょっぴり糖分か蜂蜜を加えるのがコツですね。なので、どうせ牛乳を飲むのもいいのですが、正しい識見や情報を持つ事も大事。ホットミルクを飲みながら、トリプトファンに関するブログやサイトを読んで、ホッとされてみてはいかがでしょうか。井上俊彦